10月31日に投開票が行われた紀北町長選挙は現職の尾上壽一氏が800票余りの差で4選を果たした。接戦とは言えないと思うが、安泰の票差とは言えないだろう。もう一人の候補者だった宮地忍氏側からすると、立候補表明が遅れたものの、尾上氏の背中にせまった、と言える。
地域が長期衰退傾向の中で、特に職場と収入の確保や子育てのしやすさがよく話題に上る。宮地氏が得票を伸ばしたのは「仕事を作る」と新しいことを訴えたからではないか。選挙期間中、尾上氏の公約に「新しさがない」との声も聞いた。
起業については「職員にやらせる」というのはともかく、役場が土台を作って民間に任せるのはすでにある手法の一つ。熊野市では公社で仕事をすることで雇用維持につなげている。取り入れてみてはどうか。
「勝って兜の緒を締めよ」という言葉がある。選挙は当然、勝って終わりではなく、勝ったところからが重要。新しい任期は13日から始まる。モットーである、町民目線、現場主義を忘れず、また、「おごらず、こびず、私欲を持たず」、より丁寧な姿勢で町政に当たってもらうことを町民は期待している。
(M)