民主主義政治は人類史上において画期的な発明の一つだろう。起源は古代ギリシアやローマにまでさかのぼるが、近世のアメリカ独立やフランス革命などを経て、多くの人の熱意と犠牲とともにもたらされた。
現在の日本では政治不信が嘆かれているが、選挙によって選ばれた首長や議会議員は民意を託された存在であり、基本的には敬意をもって接するべきだと考えている。
財政難で苦しむ尾鷲市がさまざまな歳費を削る中、紀北町と比較して議員報酬を削るべきという意見をよく聞く。確かに、民意の代弁者たる議員が率先して範を示すことの意義はある。だが、住民の声に耳を傾けて政策を立案する、行政の取り組みを監視し不正をただす、それらの重責までもが過少評価されるべきではない。
ダブル選挙が迫る中、新型コロナウイルス感染症の影響は長期化し、飲食店や観光業のみならず多くの事業者が損失を受け、地域の将来に不安を考えている。こども園、SEAモデル、総合病院、広域ごみ処理施設など、尾鷲市の今後の課題は多岐にわたる。地域が前を向くためにも、ぜひとも立候補者の主張に積極的に耳を傾け、選挙権を行使してほしい。
(R)