長野県の最南端、下伊那郡の中央に位置する人口3600人のほどの下條村。特徴の一つが平成4年度に当時の村長が制度化した資材支給事業。軽易な土木作業を行う場合、村が資材や重機の燃料代を支給し、住民が作業を受け持つもの。
村長が替わった今もその制度は引き継がれ、これまでの実績は1726件、金額にして3億1561万6850円。1件当たり18万3000円ほどになる。
コストが抑えられ、ほとんどが単年度で完結。補助事業のように工事内容の制約がなく、地元の意向に添った独自の施工ができる、地域の問題を住民自ら考え汗を流して対応することで、住民参加の村づくりの基本になっている、住民が目標を一つにして作業することで、各地区内での親睦と交流の輪が広まる…などの効果が出ているという。
災害が多い当地方。地域にとって業者は必要で、その仕事を奪うことになっては元も子もないが、必要なのになかなかできないものがあるとしたら、そういう手法を活用するのも一つ。何かを施工することでランニングコストが削減される場合もある。財政難だからこそ、さまざまな手法を考えてはどうか。
(J)