「卵が先か、ニワトリが先か」というところに行きつく議論は多いが、先だって、気になるニュースを読んだ。「障碍」(しょうがい)の碍の文字について、文化審議会国語分科会の小委員会は「常用漢字表への追加を見送るべきだとの見解をまとめた」という。理由について「追加を要するような使用頻度の高まりや広がりが生じているとは判断できない」と報じられた。
障害者団体などから「碍」の使用を求める意見が出ている。これを受けて「障碍」「障がい」と書く自治体もあるが、統一されていないのが現状。
多くの記者や広報担当者が参照する共同通信社のハンドブックでは、「障碍」は「障害」と書くように指示がある。碍が漢字表に載っていないから。このため現状では、使用頻度の高まりや広がりを期待できる状況にない。
石という漢字は1年生で、得という漢字は5年生で習う。学習漢字にするかどうかはともかく、リストに載せる選択はあってもよい。
使用の広がりを前提とする限り採用は難しい。一方で言葉は、認識を大きく左右する。小委員会は否定的だが、社会的課題といった大きな目も採否の要素の一つであってよいのではないか。
(M)