ビジネス書としても知名度の高い『孫氏』。中国の戦国時代の話ということになっているからざっと2200年以上前。戦争のやり方に関する本だが、一番最初に書かれているのは「安易に戦争をするな」との言葉。
その『孫氏』に「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」との記述がある。情報の重要性を語った言葉。実際には準備万端でも「百戦して負けない」ことはないが、リスクは下げられる。政策や事業方針、投資の決定において、正確な情報や適切な分析による見通しは欠かせない。
国でも自治体でも、情報公開の在り方が問題になっている。政府や自治体の当局が嘘をつく、情報を隠したり出し渋ったりする、廃棄するなど、ここ数年、国レベルでは不祥事が相次いでいる。
個人情報との兼ね合いや、風評被害を避けることなど、慎重に判断しなければいけないこともあるが、情報をしっかり出した上で対策を取る方が合理的な場合もある。
尾鷲市は5月から6月に市長選、市議選がある。情報の出し方に対する考え方も争点となるだろう。首長も議員も権力者である。将来の進む道を誤らないような情報の取り扱いを求めたい。
(M)