愛知県のある市で「全市民お一人に5万円還元」を公約に掲げた市長が就任した。ネットニュースに「負けそうなら、現金配りますと言えばいい実績を残してしまった」と落選陣営の声が載っていた。住民一人に5万円ずつ配ると約193億円かかり、財政調整基金の81億円では足りないという。一体、どう解決するのか。
これほど極端でなくても、在職中の報酬・期末手当カット、退職金を受け取らないといった公約は、財政状況のよくない自治体では普通に見られる。結構なことだが、例えば「報酬ゼロを掲げないと当選できない」という状況になれば、市長・町長になれる人が限られてしまう。ほどほどが大切だろう。
地方では人口減が続き、全国的な景気拡大局面の恩恵もほとんどなく、税収も伸び悩む。そんな中、行政サービスを維持するのでいっぱいいっぱいな自治体も多いのではないか。毎年支出が必要な事業も負担になる。新しい財源がなければ、何かの事業を取り止めなければいけない。
後のことも考える必要がある。やりたいことに取り組むのもいいが、やらなければならないことを先送りにする市町村長や知事、首相では困る。
(M)