各地で3月定例会が開会し、議案審議や一般質問が行われている。地方議会は年に4回の定例会(3月・6月・9月・12月が基本)があるが、特に3月定例会は当初議会と呼ばれ、4月から始まる新年度予算についての審議がメインとなる。1年間に行う事業やそれに伴う予算を認めるかどうか、慎重な審議が求められる。
各議員は事前に当局から配布される分厚い予算書をチェックし、本会議や常任委員会で当局に質問する。どの自治体も財政状況は厳しい。無駄なものをいかに削り、必要なところに資金を投入するか。何が無駄で、何が必要か。答えは一つではないが、「住民のために使う」という観点を忘れなければ、間違った方向には進まないだろう。各議員は、当局提案の”原案通り”ありきではなく、住民目線に立ち、案を差し戻したり、修正をかけたりしてもらいたい。
開会中の新宮市議会の一般質問で、新年度事業案にある、デジタル技術を活用した観光看板等整備事業について、ランニングコストが月額約15万円であることを問題視する声が上がった。議員は「5年もかからずイニシャルコストを超える。異常」と指摘。さらに議員は実験を実施した自治体に問い合わせたところ、「その自治体は結果が良ければ導入のつもりだったという。外国人(観光客)は興味を示さなかったそうだ」と返答を紹介。厳しい財政状況のなか、市民に負担を強いることになると迫った。この件については、総務建設委員会で議論し、議会側は当局に見直しを求めると見られる。
新宮市の新年度予算(一般会計)は過去最大の191億4000万円。建設中の文化複合施設整備事業が大きいが、厳しい状況の中で編成した大型予算だけに、議会側も慎重姿勢を崩していない。
また、今定例会では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う地元経済への影響を懸念する声も相次いでいる。飲食店の経営悪化に対する市の手立てを尋ねる質問に、田岡実千年市長は「プレミアム付き商品券を拡大し、市内のお金の循環を大きくしたい」と見解を示した。新型コロナについては、まずは国の支援だが、地域性を踏まえた上で、各自治体独自の施策も必要になるだろう。