新型コロナウイルスの年明けからの急拡大はとどまることなく続き、いつ誰がどこで感染しても不思議でない状況になっている。これまで「原則全員入院」を掲げ、爆発的な感染を封じ込めていた和歌山県でも第6波のオミクロン株の感染力の強さには勝てず、自宅やホテル待機者(療養者)の割合がかなり高くなり、5日~27日の期間で初めて「まん延防止等重点措置」が適用されることになった。県内全域が対象で、飲食店には協力金支給を伴う営業時間短縮を求める。
過去の感染拡大の波では、営業するか否かは自己判断で、感染リスクと客足が遠のく状況に対し「開けるも閉めるも地獄」と窮状を訴える声が聞かれた。今回、時短要請を受けて県内全域で足並みがそろうことに安どする商店主もいる。
「まん延防止」により経済活動が停滞することは、飲食店のみならず当地方の主産業の一つである観光業への影響も必至で、宿泊施設、土産店、交通事業者など、あらゆる事業者が頭を悩ませているだろう。国・県の支援策について、市町村が再度、分かりやすく広報し必要なところに支援の手が回るよう努めることに加え、支援のニーズは地域の実情によって異なることから、県議会や市町村議会の議員らが状況を把握し、当局と共に独自の支援策を検討していくことが求められる。
一方で、「まん延防止」が適用されたからといって、感染者数がすぐに収まるものではない。すでに13日までの予定で「まん延防止」が適用されている三重県では感染拡大が収まらず、期間延長も視野に検討している。
感染判明後、自宅療養を余儀なくされるケースが増える中、健康管理や家庭内感染を防ぐためにはどのようにすべきかについてはあまり知られていない。家の中でもマスクを着用する、部屋を分けるなど、生活上のポイントについて、自治体はメディアも使いながら分かりやすい形で事前に周知しておくことが必要。人々の意識にとどめるには繰り返し訴えることが近道であることを忘れず努めてほしい。医療現場や保健行政はひっ迫している。何とか早く落ち着かせるためには、基本的な感染防止対策への一人一人の意識が大切になる。