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社説「出産休止 何としても回避を」

 11月は児童虐待防止月間で、新宮市役所にも啓発用の横断幕が掲げられている。少子化が加速する中、安心して子どもを産み育てる環境を整えるのは、行政も最優先して取り組むべき課題と言っても過言ではない。そのためには、かかりつけ医である開業医・出産や緊急時の対応に奔走する総合病院の医師の存在は欠かせない。

 先日、新宮市立医療センターが来年3月以降の出産予約を休止すると発表した。産婦人科の常勤医師2人のうち1人の退職が決定しているが、後任医師の確保に見通しが立っていないためだ。同センターでは年間300件程度の出産がある。串本~尾鷲間の病院でこの件数全ての受け皿となるのは難しく、田辺市など圏域外での出産という選択をせざるを得ない。生活圏での出産・里帰り出産ができないことは、妊婦の身体的負担や各家庭の経済的負担が増えることが懸念され、妊活中の夫婦や家族にとっても不安が募る。
 
 現在、医師確保に向け、市当局をはじめ、市議会、和歌山県、医療センターなどが各方面に働きかけを行っているが、難航しているもよう。同じ悩みを抱える県内他市の病院が早くから熱心な要望活動を行っている一方、退職予定の医師の説得を続けていたため、後任探しへの動き出しが遅れたことも難航する理由の一つと指摘する声も。
 
 医療センターでは平成19年にも産婦人科医が不足し、このままでは出産できない状況になると市民に公表した。この時は、医師不足地域に対する国レベルの緊急臨時的医師派遣システムにより、第一弾の派遣先の6か所の一つに選ばれ事なきを得た。当時の関係者が国に働きかけ実現したが、現在この制度はない。
 
 先月の市長選で4選を果たした田岡実千年市長は、選挙戦で国や県との太いパイプ(信頼関係)があると強調。今まさに、そのパイプを使って早急な医師確保に邁進することが、政治の力では。地域の中核病院として、圏域住民の命も守っている。圏域内の他の病院に受け皿になってもらえば、どこかにしわ寄せがくる。医療センターで出産できないという状況を作ってはならないという強い気持ちで、県議や市議と連携して、一日でも早く市民に安心を与えてほしい。
 

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