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社説「「見えにくいもの」の大切さ」

 人々の生活や産業を支える基盤をインフラと呼ぶが、戦後の高度成長を支えた公共工事によるインフラ整備に政治家たちは率先して取り組んできた。その後、建設から50年以上が経過したものは劣化が進み、修繕や建て替えが施されている。

 和歌山市の紀の川にかかる「六十谷(むそた)水管橋」が崩落し、同市北部地域の約6万世帯(和歌山市の約3分の1)で大規模断水が発生。国が定める耐用年数まであと2年あったが、原因についてはわかっていない。まずは仮復旧が最優先だが、なぜ別ルート(バックアップ対策)ができていなかったのか、今後は問題視されるのでは。
 
 水道管のトラブルは対岸の火事ではない。紀伊半島大水害では、熊野川からの取水口に土砂が流れ込んだ影響で取水できず、新宮市内は1週間程度断水。飲料水は何とか確保できても、生活用水に苦労した人は多かった。そして今まさに和歌山市民の約13万8000人が、不自由な生活を強いられている。
 
 今回の和歌山市では、老朽化した市民会館に代わる和歌山城ホールが今月末にオープン。「ハコモノ」に力を注ぎながら、水管橋の修繕を後回しだったことを揶揄(やゆ)する声が多い。新宮市もここ10年で丹鶴ホールや市庁舎建設をしたが、これを機に派手さはないが「見えにくいもの」に目を向けてほしい。
 
 蛇口をひねれば水が出るのは当たり前のことだが、旧新宮市内では昭和7年~同34年に埋設された普通鋳鉄管の取り換える工事が平成元年から毎年続いている。1年間に約1億円(約700メートル)のペースで、令和2年までに約13キロのうち約11キロが完了しているが、万全と思わずバックアップ体制も検討する必要がある。
 
 何らかの原因で断水などが発生した場合、現在の緊急時の給水体制(給水車による巡回)だけでは不十分。当地方は高齢化が進んでおり、運ぶ作業が大変だからこそ、例えば市内各地区に給水タンクを設置し、一時的に水を貯めながら各家庭に届ける。そうなると断水が発生したとしても、給水車が給水タンクに水を補充することで運ぶ作業をなくすことができるのではないだろうか。ぜひ専門家を交えながら議会でも検討してもらいたい。
 
 「見えにくいもの」にも目を向けしっかりと議論し、災害に強い最先端のまちづくりを目指してほしい。
 

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