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社説「宣言解除間近 期待と不安…」

 新型コロナウイルスワクチンに関して、高齢者への接種が各地で進む中、菅首相は先日の党首討論で、希望者全員へのワクチン接種を10~11月に終えたいという考えを初めて示した。そして政府は17日、感染拡大防止のため10都道府県に発令中の緊急事態宣言について、沖縄を除いて期限となる20日に解除することを決めた。

 東京、大阪、兵庫、京都の4都府県を見れば、宣言解除は約2か月ぶりで、終息に向けた国民の期待感は高まるが、宣言解除による"緩み"には十分気を付けなければならならない。宣言解除でこれまで巣ごもり状態だった人たちが動き出し、京阪神方面から当地方の観光地への往来増加が予想される。観光業の再始動は、地域外からの需要獲得による経済循環が期待でき、1年以上苦しい状態が続く飲食業や食材を納入する卸売業、宿泊業など多くの事業者にとってありがたい話の一方で、感染の再拡大に不安な気持ちもあるだろう。
 
 当地方でこれまで感染の広がりを見せなかったのは、住民一人一人が高い意識を持って感染予防に取り組んだことにほかならない。医療体制が脆弱な地域であることを忘れず、マスク着用、手指消毒、検温などの基本的な感染防止対策は継続するよう、行政と事業者が一体となって各地からの来訪者に理解を求めていくことが大切だ。
 
 新宮市では、事業者に10万円を上限にアクリル板、換気扇、空気清浄機等の設置や、非接触型体温計、自動手指消毒器等の購入、店舗・事業所等の改修にかかる工事費など、感染防止対策を講じた補助申請を9月末まで受け付けている。できる限り市内事業所で購入と市の担当課は言っているが、どれだけの事業者が地元を利用するのか…。本音は現金給付が最もありがたい支援であるが、コロナを終息していくためにはワクチン接種だけではなく、環境づくりも必要になってくるからこそ、今回の間接的支援を有効に使い、これから来る流れに備えてもらいたい。
 
 欧米などワクチン接種が早かった国々では経済活動が元に戻りつつある。焦りは禁物だが、コロナ禍での観光地の在り方を考えながら、徐々に慣らしていくことが必要。当地方は観光が主産業の一つで、これが再生しないことには地域全体の活力は失われたままになる。コロナウイルスに打ち勝つため、今一度気持ちを引き締め、各自治体ではなく、地域全体で気を緩めずに立ち向かおう。
 

      社説

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