住民の代表である議員。かつては地区代表の意識が強かったが、定数削減の流れが続く昨今は、地元のみならず全体を見据えた活動が求められる。投票してくれた人の為だけに働くのではなく、当選したら全体を考え仕事をする。そうでないと、過疎高齢化が進む地区は取り残される。議員一人一人の質が問われる時代が来たことを認識すべきだ。
地方議会が果たす役割としては、主に行政活動のチェックが挙げられるが、執行権のある首長に比べると、議員の仕事ぶりや実績は見えにくいと言われる。しかし、審議権や議決権のほか、政策を提案することもできる。一般質問は、住民に議会活動の様子を伝える絶好の機会だが、是々非々の姿勢で臨む議員の一方、ほとんど質問しない、反対しかしない、勉強不足が否めない、など残念な議員もいるのでは。
今月は串本町と田辺市でそれぞれ首長と議員のW選挙が行われる。このうち、田辺市議選は3月議会で議員定数を22から2議席減らす条例改正案が可決され、今回から定数20となる。立候補予定者説明会には現職18人、新人11人の計29人が出席しており、激戦必至の情勢だ。紀宝町議会も2月の臨時会で定数2削減の11とすることを決めた。同町議選は前回無投票となり、削減を求める町民の声なども受け、特別委員会で適正な定数について議論を続けていた。2年後の町議選から適用する。
それぞれ定数削減後の議員一人当たりの人口を見ると、田辺市は3449人(3月1日現在)、紀宝町は983人(昨年4月1日現在)。現在定数15の新宮市は1775人(3月1日現在)。田辺市に比べると、新宮市や紀宝町は議員1人当たりの負担が少ない。
各市町村の議員だけでなく、県議会議員にも言えることだが、選挙前の一定期間だけでなく、普段から支援者以外の住民の声も聞き、いろいろな会合などに出席したりして住民との距離を縮める活動が今後は求められるのでは。顔の見える活動を行う議員こそが、住みやすく安心して暮らせる"まちづくり"ができるのではないだろうか。
コロナ禍で住民が苦しんでいる時だからこそ、議員は襟を正し行動してほしいものだ。