串本町田原で建設が進む民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」。今年中に完成し、来年春までには初号機の打ち上げが計画されている。2020年代半ばまでには年間20基程度の打ち上げを見込んでおり、和歌山県や地元の串本町、那智勝浦町は産業振興と雇用創出だけでなく、観光資源としての期待も寄せている。
地域活性化に生かそうと話し合いを進める、和歌山県や周辺自治体、関係機関で構成する協議会は、打ち上げに向けて串本町と那智勝浦町に公式見学場を合わせて4か所(計約6300人収容)設置することを発表。ロケット効果への期待は高まるばかりだが、交通渋滞や安全対策への取り組みはこれからだ。協議会では、ロケット発射時に見物客が2万人、車が約8000台来訪すると見込んでおり、見学場周辺の計約8キロ区間を、駐停車禁止などにして渋滞対策にあたる。
公式見学場の一つとなる旧浦神小学校をもつ那智勝浦町の堀順一郎町長は、周辺だけの交通渋滞対策では不十分で、公式見学場の予約者が会場に到着できない可能性もあると指摘。
大阪方面からは紀勢自動車道のすさみ南インターチェンジ、名古屋方面からは那智勝浦新宮道路の市屋ランプを利用するであろうが、事前予約者以外の見学はできない旨の看板を設置するのはもちろん、近隣の宿泊施設や道の駅で車中泊の人にも周知する必要がある。
生活道路でもある国道42号の規制は地元住民にも影響を与えることから、早い段階から繰り返し広報し、可能な限り規制時間帯を避けて通行するよう呼び掛けていくことも大切になる。普段通行しない道路を抜け道として利用するドライバーも増える可能性など、さまざまなケースを想定しておいてもらいたい。
また、防犯面の対策も講じなければならない。日中も家の鍵を閉める、車内の見えるところに荷物を置かないなど、各地から不特定多数の人が訪れることを考えると、今まで以上に防犯意識を高めることが必要だ。警察によるパトロール強化も大切だが、やはり住民への事前広報で鍵かけ要請などをして、実行してもらうことが被害防止に繋がるではないだろうか。