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社説「自治体の責務は「引き締め」」

 お盆を前にした8月、新型コロナウイルス感染症は第2波が到来し、当地域の自治体でも「帰省自粛要請」を出したところがあった。感染すれば重症化リスクが高い高齢者が多く住む地域だけに、帰省に対する危機感が高まったからだ。

 今回、年末年始を控え到来した第3波。大阪府が今月2日、非常事態を示す「赤信号」を点灯させたことを受け、和歌山県も同4日に大阪府への不要不急の外出を控えるよう県民に要請した。期間は15日までを予定しているが感染拡大状況によっては延長もあり得る。一方で、県はこれまでに、帰省自粛を求めるといった発言はなく、那智勝浦町なども「県の動向を見ているところ」と独自の判断には消極的。ただし、現在の感染状況を見ると、重症患者が夏に比べてはるかに多く、北海道の医療機関では限界を超え、自衛隊に救援要請を求めた自治体も。
 
 新宮市立医療センターの感染症病床(陰圧室)は4床、同様の機能を持たせた病床を含めると8床で、それでも対応できない場合は、コロナ専用病棟にして計20床まで対応できるとしているが、数字だけで安心を担保できない。岩出保健所管内では今月に入り、大阪の事業者による健康食品販売セミナーで高齢者を中心にクラスター(感染者集団)が発生。当地域で同様にクラスターが発生すれば、コロナ以外の一般患者の診療にも影響が出て、医療崩壊が加速度的に進む恐れがある。
 
 同センターは県や新宮保健所と連携し、さまざまな事態を想定。仮に20床を超える患者の受け入れを求められた場合には、軽症患者の自宅待機あるいは転院で対応するが、それで本当に大丈夫なのか懸念される。病院は最後の砦(とりで)であるものの、まずは地域内で感染者を出さないために、一人一人の感染予防への意識を高めることが大事になる。
 
 コロナ禍で初めて迎える年末年始。帰省はどうするのか。また、年始に成人式を予定している自治体は、式典会場は徹底した感染防止対策を講じたとしても、式典終了後にも踏み込んだ何らかの要請をすべきでは。地域住民の安全安心のため、各自治体がそれぞれリーダーシップを発揮してもらいたい。
 

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