中学校卒業生徒数(和歌山県内)を見ると、ピークだった平成元年3月の1万8014人から、同31年3月は8607人と半分以下になっている。さらに15年後には平成元年の3分の1以下になるとの予測。こうした少子化の流れ、さらに情報化やグローバル化の進展など社会が大きく変化する中で、統廃合を含めた学校再編は避けて通れないことは理解できる。
県教委は昨年10月、「これからの県立高等学校の在り方について」のテーマのもと、県内各地域の状況に応じた高等学校の在り方など5点について、有識者でつくる「きのくに教育審議会(第6期)」に諮問した。先月、同審議会からの答申を受けて今月下旬から来月にかけて、県内5か所で地方別懇談会を開催する。新宮・東牟婁地域では9月27日(日)の午後3時から、新宮高校体育館で行う。
今回の答申で、新宮市とその周辺地域には適正規模(1学年6学級)程度の高校1校に再編整備する必要性を指摘。つまり、新宮高と新翔高の統廃合を示唆している。学級数の減少と違い、統廃合となれば、地域のさまざまな事情や影響を考え、慎重に進める必要がある。来年すぐにという話ではなく、現在の小中学生に関わってくる課題で、保護者は関心をもって議論に参加すべき。また、学校は地域のコミュニティーの役割も果たしており、今ある学校が閉校となれば、地域経済に与える影響も少なからず考えられる。
本紙エリアでは、串本高と古座高が12年前に統合され、串本古座高となり、旧古座高は串本古座高古座校舎として昨年3月まで存続した。一方で、三重県教委は紀南地域高等学校活性化推進協議会を8年前に設置。地元の教育関係者らが委員を務め、紀南高と木本高との統合も視野に入れた協議を毎年重ねているが、地域の事情なども勘案した結果、当面は両校を存続させて特色ある教育を目指し、将来的に規定の学級数を維持できない場合の統合は避けられないとの方向性を出している。
今回の再編問題では、子どもらの将来に関わる大きな課題として、県教委は当局案ありきで進めるのではなく、コロナ禍ではあるが、できる限り地域の合意形成が図られるよう丁寧な議論を尽くすことが求められる。先にも述べたが、これからの子育て世代にも広く関心を持ってもらう必要があり、まずはその第一歩となる説明会に積極的に参加してもらいたい。