• 2024年人事異動
  • 本日の新聞広告
  • 17時更新
    三重 東紀州ニュース
  • 17時更新
    和歌山 紀南地方ニュース
  • イベント情報

火力の煙突に花道を

 旧中部電力尾鷲三田火力発電所の煙突がいよいよ撤去される。22日に昼夜を問わず点滅していた航空障害灯が撤去されて完全に沈黙。7月から本体の解体が始まる。

 三田火力発電所は昭和39年に1、2号機が運転を開始。昭和62年の3号機増設で、それまでの赤と白の煙突から、全高230メートル、青と白の煙突に建て替えられた。当時、日本一を誇った煙突。煙突がいくつもある四日市などと違い、地域に唯一の存在感は圧倒的で、都会に出ていた人たちは煙突を見ると尾鷲に帰ってきたと実感するし、周辺の人の印象も強い。
 
 かつては公害問題もあったが、発電所が設けられたことで、固定資産税をはじめ、大口の水道利用で水道料金は三重県で一番安い時もあった。さらに、外航タンカーの入港によるとん税が市に入り、地元の飲食店なども潤うなど、長年、尾鷲の経済に貢献してきた。
 
 以前、ライトアップされたこともあった煙突。新型コロナウイルス感染症の拡大防止で、外出の自粛など、町のムードが沈滞する中、座してなくなるのを待つだけではあまりにもしのびない。工事の都合もあると思うが、本体に着工する直前まで、カウントダウンの意味を込めて、再びライトアップできないか。
 
 巨大な煙突に対応できるかどうかは分からないが、CG(コンピュータ・グラフックス)とプロジェクターなどの映写機器を用いるプロジェクションマッピングがある。最近では、新型コロナウイルスの治療などに尽力する医療従事者に感謝の気持ちを表す青色のライトアップが全国に広がっている。出身者や人脈をたどれば光や映像を演出できる人に行き当たるかもしれないし、やり方次第ではシンボルの最後にふさわしい、市民の心に残る演出ができるのではないか。
 
 尾鷲市に予算がないのはわかるが、ねん出の仕方はあるはず。大切なものは、なくなって初めて存在の大きさに気づく。
 
 新型コロナウイルスで集客イベントは難しいが、旧町内であればどこからでも見えるといわれる煙突。ライトアップなら家からでも眺められる。これまでの貢献に感謝の意を込めて、最後の時を共に過ごしたいものである。

      社説

      最新記事

      太平洋新聞 電子版 お申込み
      ご購読申し込み月は無料
      ※イベント中止および延期となる場合がございますので、詳細は主催者へ直接ご確認頂きますようお願い申し上げます。

      ニュースカレンダー

      速報記事をLINEでお知らせ 友だち追加

      お知らせ