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社説「税金は年貢と違うのでは」

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急経済対策として、政府は条件付きで1世帯あたり現金30万円を給付する案を公表した。対象となるのは、今年2月以降の収入が減少した世帯。2~6月のうち、1か月でも世帯主の収入が、住民税が非課税になる水準まで落ち込んでいるのが条件。しかし、基準は世帯主に限られ、それ以外の家族の収入が減っても考慮されない。
 
 「1世帯30万円」だけ聞いて「自分たちももらえる」と思った人は多いが、実際のところ対象となるのは全世帯の2割程度か。例えば、月収20万円の人が10万円に下がれば支給対象だが、18万円の人が10万円になっても対象外。わずか2万円差で線引きされる仕組みのため、このように対象が絞られすぎては、経済対策として効果が出るかどうか疑問。国民に不公平感が生まれることも懸念される。
 
 納税は国民の義務として課せられており、納められた税金によって公共サービスが提供される。サービスを提供する側の人(公務員)、われわれの代表としてサービス向上のために仕事をする人(議員)の人件費も税金だ。
 
 日本の税制度の歴史を見ると、江戸幕府は、年貢は米で納める現物納を原則としていた。明治政府の地租改正を経て現在の税金として納める流れになったが、日本人の気質として、江戸時代の年貢を意識する人がまだいる、と指摘する声もある。
 
 税金の投入は常に国民の生活重視でなければならない。国民はそのことにもっと敏感であってよいのではないか。
 
 今回の新型コロナのような国難に対して、国民の生命・財産を守るという最も重要な責務を果たすため、政府は今できる最良な公共サービスとして、全国民への一律給付を再検討すべき。また、独自の支援策を打ち出す地方自治体もあり、那智勝浦町はいち早く、全町民に3000円分の商品券配布を決めた。本紙エリアで感染者がいない間にも経済は疲弊していく。とにかくスピード感が大切。
 
 多くの世帯が日々の生活に困窮している現状を政府と地方自治体にはあらためて認識してもらいたい。多くの国民にとっての支援が「マスク2枚だけだった」とならないためにも。

      社説

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