三重県立尾鷲高校で16日、熊野労働基準監督署による出前授業が開かれた。3年生144人が、賃金や労働時間、有給休暇などの働くときのルールについて学んだ。
就職や進学を控えた高校3年生が労働法の基礎的な知識を身につけることにより、働く時に不要なトラブルに巻き込まれることを回避してもらおうと管内の高校で行っている。
授業の冒頭、半田敦裕署長が「卒業したら社会人、もしくはアルバイトで働いて給料を得ることになるが、労働には給料や時間、環境などで細かいルールがある。働いて困ったり悩んだ時は相談してほしい」と呼び掛けた。
労働基準監督官の大原英さんが「労働法を知っておくと、労働問題のトラブルを未然に回避することができる。働いているときに感じた違和感に、もしかしておかしい、と気づくことができる。実際に困った時にどういった相談先があるかも知ってほしい」と労働法について説明した。
働き始める前に知っておくこととして、労働契約に違反した場合の違約金や、労働を条件とした金銭の前貸しと一方的な天引きは禁止されていることなどを紹介。毎年10月ごろに最低賃金が変わること、労働者との同意なく労働契約を変更することは原則できないことの紹介があった。「下げられた給料を黙って受け取ってはいけない。同意したとみなされる可能性がある」「賃金は全額支払う必要があり、会社の物を壊しても、修理費を勝手に給料から引くことはできない」などと具体的な事例もあった。
労働時間や退職時のルールについても説明があった。労働者が仕事を辞める退職は一方的な性質を持っていて会社の承諾も必要ないこと、会社も就業規則に基づいて懲戒処分を下すことができること、会社が労働者をクビにする解雇は社会の常識に照らして納得できる理由はないものは無効でいつでも自由に行えるものではないことなどの紹介もあった。