北島三郎の『まつり』を聴いていると、ヤーヤの練りが思い浮かぶ。「祭りだ、祭りだ、祭りだ」の掛け声とともに、神への敬意、収穫と生命への感謝を歌い上げる不滅の名曲には、日本全国津々浦々の祭りに通じる魂がある。
関西万博が始まって5か月、行く暇も金もない身としては興味を持たないようにしてきたが、ヤーヤの練りが披露できる機会があるとなれば、話は変わってくる。
コロナ禍で多くの祭りが中止を余儀なくされ、そのままなくなってしまったものもあるのだろう。ただ、有名無名に関わらず、多くの祭りが乗り越えてきたのは、祭りにはなくすことができない、人間の基本的な情動に訴えかける何かがあるからではないか。
万博全体から見れば、数多ある企画の端役だが、主役を食ってやれない道理はない。世界を相手にヤーヤの練りが披露できる機会はなかなかない。見ている人の心が一人でも動けば、ふるさと納税や交流人口の増加にもつながる。尾鷲から向かう総勢100人、ぜひ誇りを胸に全力で練ってきてほしい。
(R)
