石破首相の肝いり政策の地方創生が進まない。先の参議院選挙では争点にもならなかった。それどころか、自民党内で渦巻く「石破おろし」に屈して退陣となれば、地方創生の政策遅滞が懸念される。
バージョンアップした「地方創生2.0」の目玉は、住居地以外の地域に継続的に関わる関係人口を増やす「ふるさと住民登録制度」の創設。定住人口の増加に限界があり、人口の奪い合いでなくシェアするという発想に転換したものだが、まち自体の魅力に磨きをかけないと効果は期待できない。
尾鷲市の高齢者は2020年を境に減少に転じた。全国平均の何十年も先を行く。生産年齢人口も同じように減るので高齢化率は減少しないが、医療・福祉・介護の負担額は減る。その余力を関係人口に振り向ければ流れは変わってくる。
そしてその先にあるのは「住んで、働き、稼げる場」をいかに創出するか。地方創生の本質は地域の雇用力を強化し、関係人口よりも移住を拡大して、そこで暮らし続けられる仕組みをつくり上げることだ。
(N)
