昔の学校は「冬は寒く、夏は暑い」と決まっていた。60年前の小学生だが、学校に水筒を持って行った記憶がない。のどが乾いたら、水道の蛇口から直接飲んでいた。
黒板のチョークさえ溶かすような暑さが当たり前になった今、教室にもエアコンが付いた。「贅沢品」ではなく「必需品」になったのだ。気づかぬうちに進んだ気候変動の証である。
今夏は北海道でも、40度に迫る災害級の猛暑に見舞われた。沖縄より暑いとも。避暑地のイメージは遠い過去のものとなってしまうかもしれない。
エアコンが快適さをもたらすその裏で、莫大な電力消費とCO2の排出が進む。世界最大の排出国で気候変動対策をリードすべきはずの米国がパリ協定離脱を宣言して、経済優先に突き進む。排出削減目標も「お題目」で終わってしまいかねない。何でもかんでもディール(取引)にして、気候変動お構いなしのトランプ大統領が国際的な連携を妨げている。「米国を再び偉大に」のスローガンのどこに、世界が認める威信と強さがあるのだろうか。
(N)
