感性や心情など抽象的なものを言葉で表現することは難しい。本紙地域の木材事業者への発注で、デザイナーから「ボヘミアンボヘミアンな感じ」という注文がついたことがあったという。担当者は頭を抱えたそうだが、アメリカンスタイルを念頭に木材を吟味し、見事一発OKを出したそうである。
本紙地域の漁業と林業はともに一級品であることは疑いようもない。だが、漁業は国内でさえ競合他社ならぬ競合他地域が多過ぎて、何らかの差別化を図らねば消費者に振り向いてもらえない。林業は輸入材との価格競争は本当に厳しい。
地域産業のブランド化やマーケティングといった言葉をよく聞く。日本マーケティング協会によると「マーケティング」の定義は「企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動」とのこと。
先の件は、地域の産品の魅力を知り尽くした事業者だからこそ、抽象的な要望に応えることができた事例といえる。事業者からの新しい価値提案ができれば、新たな市場創造にもつながる。そのためにもこの地で人材をどう育てていくが重要となる。
(R)