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社説「『立ち往生』教訓に再発防止策を」

 新宮市相賀の国道168号で先日、道路工事に伴う片側交互通行区間に両方向から車が進入し、多くの車が動けないまま立ち往生する状況となった。工事用信号機による規制で一方の車が赤信号で進入したためと見られているが、一歩間違えば大きな事故につながっていた。道路管理者は再発防止策を考えなければならない事案だ。

 通報で駆け付けた新宮署員の誘導により、本宮方面に向かっていた車が1台ずつ後退した。狭い道の後退で車に傷がつくおそれもあり、巻き込まれたドライバーは散々な思いだっただろう。帰宅時間帯と重なったことで国道168号は大渋滞となり、解消まで約1時間半かかった。
 
 県東牟婁振興局新宮建設部によると、工事実施日の午前8時~午後5時の間は両側に誘導員を配置し、無線で連絡を取り合いながら車を通しているが、夜間は工事用信号機による規制。国道168号は、住民生活、物流、観光いずれの面でも大動脈の役割を果たす道路で、一刻を争う緊急車両の通行や、道に不慣れなインバウンド(訪日外国人客)を含めた観光客がレンタカーで通行することも多い。
 
 奈良県道路マネジメント課によると、管轄する国道169号では法面崩落の復旧工事や維持修繕工事等で片側交互通行とする箇所がいくつかあるが、大半の箇所で誘導員配置を24時間体制としている。崩落箇所では監視の意味合いもあるが、通行車両の安全を第一に総合的に判断した対応という。
 
 国道168号では、「仮称2号トンネル」の工事が打ち切りとなり、当面は現在の道路を維持管理しながら安全に通行させることが求められる。新宮建設部は今回の再発防止策として、工事用信号の厳守を求める看板の設置を検討するとのことだが、あおり運転がなくならないように運転者のモラルは昔に比べて低下していることを踏まえれば不十分ではないか。24時間体制の誘導員配置が難しければ、せめて交通量が落ち着く午後8時ごろまでの配置はできないか。同じ国道168号で、高田口トンネル内の路面悪化を伝える看板は設置したものの、トンネル入り口直前に一つあるだけで文字も小さく、観光客など不慣れなドライバーの視界には入っていない。看板設置で完了したと考えているのであれば、安全を軽視しているといわれても仕方がない。また、本紙では2022年7月に、ハローワーク新宮前の道路の傷みが激しく凹凸で転倒した住民がいたことも報じたが、2年以上たった現在も修復されずそのままだ。
 
 安心安全に通行できる道路環境の整備は管理者の務め。当局には必要な予算措置を取り、対策を講じてもらいたい。併せて、市民の声を行政に届けるのが、市議会議員や県議会議員の役目。今回の件も県議会議員には現状を把握したうえで、県当局にしっかりと対策を講じるよう働きかけてもらいたい。
 

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