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社説「防災・交通安全は先手を」

 日本の南で発生した台風10号は今後勢力を強めながら北上し、週明けの27日から28日にかけ紀伊半島に接近する見込み。台風の接近前から激しい雨が降るおそれもあり、今後の気象情報に注意しながら、各家庭で事前の備えを進めてほしい。これから本格的な台風シーズンで、近年は台風本体の雨雲から離れた場所でも、線状降水帯が発生し、大きな被害が出るケースがある。河川の氾濫、土砂災害、低い土地の浸水、道路の冠水などに注意が必要だ。

 本紙は今年6月下旬、国道168号の高田口トンネルで、大雨時に水たまりとなる箇所があることを指摘。路面が傷んだ箇所に排水溝からあふれた水がたまるため、はがれたアスファルトの粒が周辺にちらばっている。ちょうど出水期に入ったころで、場合によってはハンドルを取られて交通事故につながりかねない状況のため、道路管理者の和歌山県に対応を尋ねたところ、状況は認識しており、応急的な安全対策として、トンネル入り口付近に、雨天時の走行注意を呼び掛ける看板の設置を検討するとのことだった。観光客や帰省客が増える夏までには設置すると見ていたが、2か月近くになる現在も看板は設置されていない。
 
 一方で、新宮市の国道42号、速玉大社前交差点の道路標識に関して、文字が薄れた状態が長らく続いていたが、今月上旬に修復された。道路管理者の国土交通省紀南河川国道事務所の事務所長に今年7月、河川愛護月間の熊野川クリーンキャンペーンの際に伝えたところ、その日のうちに状況を確認し、担当職員に修復を指示したようだ。事務所長は、「観光客や帰省客が増えるお盆に間に合うように実施した」と話すように住民目線で仕事をしている。組織のトップに直談判しないと改善されないのは、本来の行政サービスとかけ離れたものだが、今回迅速に対応してくれたことには感謝したい。
 
 行政の仕事は、住民の声を受けるなどして状況を把握した職員が上司に伝え、必要な施策を講じる流れが通常。高田口トンネルの県の対応は、組織として応急対策は必要ないとの判断なのか、応対した職員で話が止まっているのか分からないが、予算がそれほどかからず、すぐにできる対策にもかかわらず放置しているのは、安全軽視と言われても仕方がない。
 
 住民と行政との橋渡しでいえば、議員の仕事でもある。特に命にかかわる防災や交通安全については、後手でなく先手の対策を常に心がけ、仕事をしてもらいたい。
 

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