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社説「住民のため 是々非々の議論を」

 住民サービスなどで1年間に使う予算を審議する各市町村議会の3月定例会が先月、開かれた。年に4回(3月・6月・9月・12月)ある定例会のうち、当初議会と呼ばれるこの3月定例会が最も重要といっても過言ではない。当局の提案をチェックする議員は、予算書を熟読し、適正に執行されているかどうか判断。問題があればただすよう指摘するが、事前協議や委員会で審議を尽くすため、最終的に反対する議員は少ない。

 御浜町議会で当局提案の予算案に、本会議最終日の採決の際、反対討論する議員が2人いた。そのうちの1人は町が進める「KiiCard(キイカード)」事業について、「町の税金が町外の住民や事業者に対し、補助金・支援金として不適切に使われている。カード会員獲得に多くのポイントを付与することで、町内事業者の半数にも満たない加盟店へ飲食や買い物を誘導しているのは平等性に欠ける」などと指摘した。この議員は、定例会中の委員会と自身の一般質問でもこの問題を取り上げたが、当局は「事業者に対し活用機会を平等に与えている点で平等と捉えている」との立場を崩さなかった。予算案は採決の結果、賛成多数で可決されたが、本会議で声を上げ、実態を町民に伝えることができた点で一石を投じたと言える。
 
 自治体の予算書は決して分かりやすいものではなく、流し読みをしていると、疑問点があっても気づかないケースがある。また、説明する当局の職員にもよるが、直接的な表現を避け、遠回しな言い方だと物事の核心がぼやけた状態で伝わる。議員からの指摘を避けるために意図してそのような説明手法を用いる職員もいるが、さまざまなケースに対峙するためには議員がまずはしっかりと中身を理解して会議に臨むことが求められる。
 
 住民感情からすれば、自分が収めた税金は自分たちのまちのために使ってほしいと思うのが当然。特に自主財源の割合が低く、税収確保に苦労する地方こそ、トップ(首長)や職員も住民と同じ感情に立って予算編成をしてもらいたい。その上で、当局と議会が是々非々の議論を展開することで住民サービスが充実し、また、住民の政治への関心にもつながるのではないだろうか。
 

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