尾鷲市は当初予算に合わせ、市制70周年記念事業、熊野古道伊勢路などの世界文化遺産登録20周年事業について発表した。加藤千速市長は、特に子どもたちに関し「次世代の担い手である小中学生にどう感じてもらうかが大切。印象に残るようなことを、と考えている」と語った。
子どもの頃の思い出は人生にとって非常に重要。また、思い出が共有されることは将来、話題の種になる。よい思い出だとなおさらだろう。「あの時、こうだったね」と語り合えることは、今風の言葉でいうとレガシーに相当する。
思い出・印象に残るためには、普段と違う特別感のあること、前向きな参加の2つが必要だが、事業を見てみると、子どもたちの思い出になる要素はそれほど多くない。おわせ港まつりについては「尾鷲節パレードの復活」、全国尾鷲節コンクールは「地元からの少年少女の部への参加者を増やす取り組み」が挙げられているものの、定番の事業への上乗せだと、どうしても印象が薄くなる。
特別に行われるもので子どもたちが参加するのは、記念コンサート、クッブ特別全国大会や天空体験がある。また、世界遺産登録20周年事業ではスカイランタンイベントがある。これらの取り組みに子どもたちにどのように関わってもらえるかが鍵になるだろう。記念コンサートは、ただ演奏を聞くだけでは、それこそ印象に残らないものになる。中学校の吹奏楽部、あるいは希望者も含めて1曲だけでも一緒に演奏するとか、演奏に合わせて子どもたちが合唱するなど工夫があればよい。
事業実施までにはしばらく時間があるし、年度単位で考えれば、追加の事業があってもいい。「こんなことをやった」「こんな様子で盛り上がった」と、例えば30年後の100周年の時に語り継がれるような取り組みになるように、市役所や関連団体の人には頑張ってもらいたい。