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社説「火災予防へ 住警器設置・交換を」

 空気が乾燥し、火災の発生しやすい気候条件が続く中、今月3日には新宮市内の民家が全焼する火事があり、住人の女性1人が亡くなった。新宮市内では2021年(令和3年)から先日の火災まで4年連続して住宅火災による犠牲者が出ている。いずれも逃げ遅れた65歳以上の高齢者だ。

 住宅火災での犠牲者をゼロにしようと、新宮市消防本部は今年度初めて、高齢者世帯への住宅用火災警報器(住警器)の購入費用を補助する取り組みを実施している。1月現在で102件の申請があった。火災によって発生する煙を感知、音や音声の警報で火災の発生を知らせる住警器は、早期の発見・避難に有効で、総務省消防庁の統計によると、住警器を設置している場合には死者数は半減し、焼損床面積と損害額も大幅に減少している。2006年(平成18年)6月に設置が義務化され、新築はもちろん既存住宅を含めたすべての住宅に取り付けなければならないが、昨年の調査で新宮市の設置率は70%、県平均の79%、全国平均の84・3%に比べて低い。市消防本部では今回の補助制度を繰り返し周知し、1件でも多くの利用を呼び掛けている。また、少なくとも年2回の点検と、設置から10年以上経過した住警器の交換も併せて周知している。
 
 少子高齢化と人口減少により、当地方では1人暮らしの高齢者が増えている。住警器の設置に加えて、普段から防火を意識してもらうような取り組みが必要。ストーブなど暖房器具の近くに洗濯物を干したり、燃えやすいものを置いたりしないことや、外出・就寝前には火の元の確認を忘れないことなど、隣近所で日常的に呼び掛けることも火災の防止につながる。また、安全機能の優れた暖房器具への買い替えも予防の一つ。
 
 3月1日~7日には春の全国火災予防運動が行われ、啓発活動などを通して、広く防火が呼び掛けられるが、各自治体は運動期間中に限らず、火災の発生しやすい時期には防災行政無線や公用車の巡回、広報紙などあらゆる方法で"火の用心"を繰り返し周知してもらいたい。火災は尊い命と大切な財産を一瞬にして奪ってしまう。まずは火災を起こさないため一人一人が防火意識を高めること、そして環境づくりが大切になる。
 

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