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社説「一日も早い高速道路整備を」

 紀伊半島一周高速道路の実現に向け、各地で順調に事業が進んでいる。熊野川河口大橋を含む「新宮紀宝道路」は今年秋に開通を迎え、紀勢自動車道のすさみ南IC以南から工事が進む「すさみ串本道路」も来年春に完成予定だ。その他の未開通区間の熊野道路、紀宝熊野道路、新宮道路、串本太地道路も事業化され、それぞれ工事着手や測量・用地買収などに取り掛かっており、全体完成に向けた地元の機運は高まっている。

 かつて民主党政権時代(2009年9月~2012年11月)に「コンクリートから人へ」というスローガンのもと、無駄な公共事業を減らして社会保障や子育て支援に財源を回そうという動きがあった。当時、開通して間もない「那智勝浦新宮道路」を視察した同党の国会議員は「この地方にこれだけ立派な高速道路が必要か」と発言し、開通を待ちわびた地元住民から反発の声が上がった。また、2011年9月の紀伊半島大水害では、奈良県十津川村内の国道168号が至るところで崩れたものの、部分開通していた新道のおかげで孤立せずに済んだ集落があり、当時の十津川村長が「コンクリートでしか守れない命がある」と政権を皮肉った。
 
 今回の能登半島地震では、被災地につながる道路が各地で損壊し、救助・救援隊が現地到着にかなりの時間がかかったり、孤立集落が生まれたりした。当地方で予想される南海トラフ地震では、沿岸部が津波により大きな被害を受けることが予想され、幹線道路の一つ国道42号は各地で寸断されるだろう。そうなると、紀伊半島を一周する高速道路が緊急輸送路の役割を担うほか、津波からの一時避難場所となる命の道としての機能も併せ持つことになる。
 
 この地方の住民にとって高速道路の開通は悲願。平時は主産業である観光の振興に寄与し、災害時は先述の通り命の道として必要なもの。東京からの時間地図で見ると不便さは全国有数の地域。ようやく順番が来た。ここまで事業が進んできたのも、地元住民の熱心な要望活動があったからこそ。国には今後も、防災対策の観点を含めて十分な予算の確保に努めてもらいたい。また、地元の首長や議員は一日も早い完成に向け、引き続き住民を巻き込んだ熱心な要望活動を続けてほしい。
 

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