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社説「住民のための議論に期待」

 物価高に対応する経済対策として政府が打ち出した「減税と給付」。納税者本人とその扶養家族を対象に1人あたり所得税3万円と住民税1万円の年間4万円の定額減税で、住民税非課税世帯には減税による還元を受けられないことから、7万円を給付する。住民税非課税世帯にはすでに物価高対策として3万円の給付が始まっており、合わせて10万円になる。給付時期は「年内から年明けにかけて」、一方減税は来年6月を目指しているという。

 コロナ禍から続く物価高に苦しむ家計への支援は急務。半年先の減税だけで十分ではなく、各自治体による独自支援や、きめ細かな住民サービスに期待したいというのが本音ではないか。
 
 間もなく各自治体で12月定例議会が始まる。住民と最も距離の近い市町村議会議員が、住民生活の現状を理解し、当局に支援策を考えるよう働きかけたり、全国各地の先進事例などを紹介したりして、アクションを起こすことが大切ではないか。議会は当局が提案する案件の慎重審議はもちろんだが、住民の声を伝えるパイプ役としての仕事も重要。普段から住民と対話し、アンテナを高く張っている議員であればさまざまな提案ができるだろう。
 
 一方で、当局には前年踏襲ではなく臨機応変の仕事を求めたい。那智勝浦町は今年度、環境省の「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」を取り付けた。県内では和歌山市と同町のみで、6年間で最大約2億2000万円の交付を受けられる。一般家庭や民間業者などを対象に、エアコンや給湯器などのエネルギー変化効率が良いものへの置き換えや、太陽光発電装置、蓄電池、電気自動車の導入などに対する購入、設置の補助金として活用しており、町民、町内事業者の支援に加え、町内の販売や設置の事業者にも経済効果が生まれている。
 
 このように、国の有利な交付金や補助金を探すことで、自分たちの支出を抑えながら住民サービスを充実させることができる。職員も議員同様、アンテナを張り巡らせることが大切で、少しでも住民のためになると思えば、積極的にアプローチしてもらいたい。
 
 12月定例会では、「住民ファースト」を念頭に置いた、当局と議会の是々非々の議論を期待したい。
 

      社説

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