秋の全国火災予防運動が9日に始まり、15日まで、各地で広報啓発活動や訓練が予定されている。火災が発生しやすい気候となり、まずは一人一人が火の取り扱いには十分注意することが大切。加えて、特に一人暮らしの高齢者を火災から守るため、地域や隣組での活動が重要になる。
各市町村の消防団員は訓練に積極的に参加し、知識と技術を磨く。消防団は、常勤の消防職員が勤務する消防署と違い、火災や災害発生時、または災害の発生が予想される際などに自宅や職場から現場へ駆けつけ、消火、救助、警戒の各活動を行う非常勤特別職の地方公務員。普段は自営業や会社員といった自らの仕事の傍ら、地域の安全・安心のために長年活動を続ける人が多い。
しかし、消防団員数は全国的に減少傾向が続いており、団員確保はどの自治体も共通の課題。新宮市は今月7日現在で295人の団員が所属している。平成25年度の336人から令和3年度の322人までは大きな変動はなかったものの、昨年度は307人まで減少し、今年はとうとう300人を割った。また、団員の高齢化も進み、特に熊野川町では若手の入団促進が急がれている。
近年は団員の就業形態がサラリーマン化され、新宮市でも全体の6割近くが被雇用者という。こうした現状を踏まえ、消防団に入団しやすく、団員として活動しやすい環境を整備するため、市消防本部は平成29年から消防団協力事業所表示制度を導入。認定基準は従業員が2人以上入団している事業所で、これまでに4事業所に交付している。
消防職員の限られた人数ではさまざまな案件に対応できず、消防団員の活動は不可欠。市民の生命や財産を災害から守り、地域防災の中核として重要な役割を担っている消防団員の存在を事業所として認めてもらうことはありがたく、さらに多くの事業所に広げていきたいとしている。
一方、三重県消防協会紀南支会は、南郡・熊野市の小学校に消防団員が出向いての出前講座を開催。子どもたちに団員の仕事内容を伝えるとともに、体験してもらうことを通して、将来の団員確保につなげようと続けている。防災教育の観点からも有意義な取り組みで、他の地域でも開催を検討してもらいたい。