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社説「自転車ヘルメット 購入補助を」

 秋の全国交通安全運動が21日に始まり、30日まで、各地で啓発行事が展開されるほか、各警察署は交通取り締まりを強化し、違反者に対して厳しい姿勢で臨む。秋の行楽期を迎えて当地方でも交通量が増加し、また、夕暮れ時間の早まりとともに児童生徒の下校時など薄暮の時間帯の交通事故には十分に注意しなければならない。

 今回の運動の重点の一つに「自転車等のヘルメット着用と交通ルール順守の徹底」がある。道路交通法の一部改正で今年4月から、自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務化された。警察庁が7月に調査した着用率では、全国平均が13.5%だったのに対し、三重県が5番目に高い26.5%だった。それでも最も高い愛媛県の59.9%とは2倍以上の差がある。和歌山県は16番目の12.6%で全国平均よりも低かった。
 
 まちなかを見てもヘルメットを着用している自転車利用者はまだまだ少ない。今回の運動でどこまで浸透させることができるか。熊野署は署員らで構成する「ヘルメット着用推進隊」を発足させた。運動期間中だけでなく、機会をとらえてまちなかを巡回するなどして着用率向上を目指す。発案した交通課の署員は「命を守るためにヘルメット着用が有効であることを、関係者自らが姿を示すことで周知したい」と意気込んでいる。
 
 自治体によっては、自転車用ヘルメットの購入者に補助金を支給する制度がある。愛知県豊田市では今年度補助金予算を確保し、来年3月まで申請を受け付けている。購入費用の2分の1で、上限2000円。新宮市では、市議会6月定例会の一般質問で補助金制度を設けるよう提案があったのに対し、当局は将来の義務化を見据え、研究していくと答弁している。このところの物価高で住民生活は困窮しており、ヘルメットの有効性は理解できても購入をためらう人もいるだろう。住民の安全安心を守るという行政サービスの基本を考えても、当地方の自治体には補助制度の導入を前向きに捉えてもらいたい。
 
 一瞬にして大切な人の命を奪うのが交通事故。一人一人が交通ルールとマナーを順守すれば、悲惨な交通事故が減り、子どもから高齢者まで安心して暮らせるまちになるだろう。
 

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