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社説「花火大会の今後の在り方は」

 コロナ禍が明け、今年は当地方各地でも4年ぶりに花火大会が開催されている。紀伊半島最大規模を誇る熊野大花火大会が天候の関係で29日(火)に再延期となっているが、既に終了した大会では、開催を待ちわびた人たちが大勢訪れ、花火師たちも4年分の思いを込めた打ち上げ構成で楽しませるなど盛況を見せていた。

 全国の花火大会を見ると、運営面で転換期を迎えている。滋賀県のびわ湖花火大会は混雑を防ぐために有料観覧席を増やしたうえ、道路との間に4メートルの高さのフェンスを設置し、周囲から花火が見えないようにしたことが大きな話題になった。京都府亀岡市の保津川市民花火大会では、警備強化のため観覧席は全て有料化して実施。前年の大会で最寄り駅に人が押し寄せて大混乱になったことを踏まえ、安全を第一に検討した結果、「全席有料化」に踏み切った。有料化にして財源を捻出し、警備員を増強させ、今年の大会は混乱なく終了したという。

 また、物価高騰による運営コスト増加や、コロナ不況などで事業所等の協賛金減少に対し、有料席導入や価格の引き上げにより新たな収益源を確保しようとする動きも加速しているようだ。もともと、疫病退散などを目的に江戸時代に始まったとされる花火大会。そこから長く無料で楽しめる夏の風物詩として定着してきたが、時代の移り変わりにより今後の在り方を考える時期がきているのかもしれない。

 当地方の花火大会では、熊野大花火大会のみ有料席の販売があるが、これも全体を見るとごくわずか。基本は無料で入場できる。全国的な流れに乗って有料化を進めるのは賛否両論出るだろう。しかし、安全面を第一に考えると、主催者(主に実行委員会)と関係機関だけでの対応には限界があり、亀岡市のように警備員を増強するのは自然の流れ。また、運営費の大半を担う協賛金を毎年安定的に確保するのは難しく、金額の大小によって花火の規模が変わるのも寂しい。安定した収益を見込める有料席の一部導入は来年以降で検討してもよいのではないか。併せて、会場での募金活動やクラウドファンディングでの協力呼び掛けなど、いろいろな仕掛けを行うことが花火大会自体のPRにもつながるだろう。

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