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社説「船頭の養成"待ったなし"」

 新宮市を代表する観光の一つである川舟下り。世界遺産の熊野川を舞台に、その昔皇族たちが下った川の熊野古道を語り部の案内とともに体験できるとして評判。先日は、同市の地域おこし協力隊として船頭見習いをしていた30代男性が船頭デビューを果たすという明るい話題があった。一方で、船頭は現在この男性を除いて3人いるが、いずれも年齢は70歳を超える。また、熊野川の川舟下りと同じく熊野川町ふれあい公社が運営する瀞峡めぐりの船頭2人も70代。言わずもがな船頭の養成は課題だ。

 人の命を預かる船頭は、必要な船舶免許自体は取得したとしても、川筋を見られるようになってやっと一人前。過去には天竜川(静岡県)や保津川(京都府)での川舟下りの水難事故があり、運営側の安全への意識と取り組みは常に高いものが求められる。自然相手に日々条件が違う中での運航には熟練の技術が必要で、その習得のためには当然時間がかかる。同公社の船頭の年齢を考えると、計画的に技術継承に取り組んでいかなければならない。
 
 北山村の代表産業でもある北山川観光筏下りは、村が100%出資する北山振興が運営している。現在の筏師は16人で、ベテラン、中堅、若手が融合。若者の中にはIターン者のほか、地元の20代女性が入り、今季の運航開始から見習いとして乗船している。筏下りの運航は毎年5月~9月だが、それ以外の時期はジャバラ栽培や収穫、加工場での仕事などに従事するため生活は安定している。
 
 今回の協力隊員は一つのモデルケースではあるが、将来を考えると、地元の"就職先"として確立することはできないか。運航は3月~11月のため、それ以外の時期の仕事も含めて環境を整えることが必要になる。
 
 川舟下りは昨シーズン約5500人が乗船。うち約7割が外国人と国際的にも人気だが、今後、仮に船頭不足で運航できない状態になれば新宮市の観光に大きな痛手となる。「今年は観光に力を入れる」と年頭から繰り返し述べている田岡実千年市長。船頭養成に関しては、これまでにも関係者から必要性を指摘する声が上がるなどしており、待ったなしの状況であることは明白。先送りすることなく先手の対応を求めたい。
 

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