今年は梅雨明けが早く、6月から夏本番を思わせる暑さが続く。地球温暖化により年々気温が上昇し、熱中症への対策が日常生活の一部となっている。こまめな水分補給やエアコンの適正利用など一般的な対策に加え、子どもや高齢者には周囲の配慮が求められる。
特に子どもは体温調節機能が未発達で、大人と比べると暑さを感じてから汗をかくまでに時間がかかり、体温を下げるのにも時間がかかってしまうため、体に熱がこもりやすく体温が上昇しやすくなる。
こども家庭庁によると、子どもの熱中症による救急搬送人員は令和5年(5月~9月)が1万384人で、前年度に比べ2180人多く、直近5年で最も多い。救急搬送は気温が高い日や湿度が高く蒸し暑い日に多く発生する傾向があり、梅雨明け直後の暑さが継続する期間は熱中症発症リスクが高く、特に注意が必要だ。
新宮市内の小中学校では各教室のエアコンは完備しているが、体育館については今年度から3年間かけて順次設置していく。体育の授業や部活動を行う際は、教職員が子どもの体調管理に十分気を配りながら、暑さ指数などを指標に、状況に応じて水分補給や休息の頻度を高めたり、活動時間を短縮したりすることもある。
熱中症の危険は学校内だけではなく登下校時にもある。岐阜県川辺町は7月~9月にかけて、町内の小学校低学年の児童を下校時に自宅近くまで送り届ける取り組みを実施している。熱中症対策で掲げた、今年5月に就任した町長の公約が実現したもので、対象者は学校から自宅までの距離が2.5キロ以上の遠方に住む小学1・2年生。町の公用車を利用し、運転手の委託に必要な104万円の予算は町議会で承認を受けた。
新宮市をはじめ当地域の小学校でも通学路が広く遠方から通う児童はいる。登校時は保護者が送迎しても、下校時は仕事の都合もあり徒歩で帰宅しなければならない。「子どもの命を守る」という観点で考え、川辺町のような取り組みをぜひ実践してもらいたい。
今年10月には新宮市長選を控える。現職が今期での引退を表明する中、まだ正式に立候補を表明した人はいないが、市民目線での公約を掲げ、就任後はその実現に向けて職員を束ねて取り組みを進めるリーダーの誕生を望みたい。