環境省・気象庁による「熱中症警戒アラート」が発表される日が続いている。気象庁によると、7月は観測史上最も平均気温が高かったという。毎日、全国のどこかで人の体温を超えるほどの気温が記録され、「命にかかわる危険な暑さ」「災害級の酷暑」などと報じられているが、決して大げさではない。
先日、山形県で部活動を終えて帰宅しようとしていた女子中学生が熱中症とみられる症状で死亡する事故があった。新宮市教育委員会では、国のガイドラインに沿って「暑さ指数」を計測する機器を各学校内に設置し、基準を超える場合は基本的に部活動を行わない措置を取っている。一方で、中学校、高校とも多くの運動部は、7月から8月にかけて全国大会までつながる公式戦があり、大会前の追い込みをかける時期と重なる。また、3年生引退後は、新チームの土台づくりや基礎体力・技術を高める時期にあたるから、練習時間の確保を図る必要がある。こうした事情も踏まえ、新宮市教委は基準を超える場合でも学校の判断で、水分補給をいつも以上に増やしたり、練習時間を短縮したりして部活動を行うことは認めている。
日差しが直射する屋外競技だけでなく、密閉空間となる屋内競技も気温と湿度の上昇で危険な状況が生まれる。部活動で「水を飲むな」と言われた30年ほど前とは暑さのレベルが違う。監督・指導する立場にある顧問や教員がまずはそのことを認識し、基準値以内でも暑さが厳しいと判断すれば中止にしたり、体調不良者が出た場合には1人にせずに付き添い、帰宅時には保護者に連絡したり、症状の悪化がみられる場合にはためらうことなく救急車を呼んだりする対応が求められる。
また、高齢者にとってもこの暑さは大敵。熱中症を避けるには、
- 外出を極力控える
- 運動は中止する
- エアコンを適切に使用する
- こまめな水分・塩分補給
—などが呼び掛けられている。暑さを感じにくかったり、我慢したりする高齢者も多いため、ここでも暑さレベルが違うことを認識させる必要がある。特に1人暮らしの高齢者は万一の場合に発見が遅れ、命にかかわる状況になるおそれがあり、自治体からの繰り返しのアナウンスや近所での声掛けが一番の予防になる。