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社説「知事の対話姿勢 今後に期待」

 和歌山県の岸本周平知事が先日、新宮市の丹鶴ホールで、地域住民と意見交換する「タウンミーティング」を開催した。昨年12月の就任後に始めたもので、新宮市での開催は初めて。前知事時代は行政報告会として、県側からの報告が主だったが、地域住民からの意見や要望など、現場のニーズを聞き取る形に変えた。

 岸本知事は、昨年知事選に立候補した際、住民との対話を強調していた。タウンミーティングはその柱となる取り組みで、住民から寄せられた意見を今後、どのように施策に反映させていくのか注目される。
 
 今回の新宮市でのタウンミーティングは、新宮商工会議所青年部の幹部らとの意見交換だった。県広報課によると、対話相手は地元の振興局(今回は東牟婁振興局)中心に調整して決めており、聞き取りがメインなことから人数を限定する必要があるという。開催予定についても、公務の合間にスケジュールを挟んでいくため定期的な開催は難しく、先々の予定は未定とした。
 
 事務方の説明は理解できるが、岸本知事は就任時、紀南に対する知識がこれまであまりないため、積極的に現場に出向く考えを示していた。新宮に入ろうと思えば"一日仕事"になるが、春夏秋冬に各1回ぐらいは事前に予定を入れて開催してほしい。また、高齢者が多いこの地域の特性を踏まえて対話相手を選ぶことも求められる。
 
 和歌山県は南北に広く、新宮東牟婁地域は県都の和歌山市から最も離れている。政治・経済では昔から南北格差が指摘されており、この格差解消は当地方の住民が望むところ。岸本知事は「紀南にはポテンシャル(潜在能力)がある」との認識を示しており、タウンミーティングは生の声を届ける絶好の機会。県当局には、住民から寄せられた意見に対する返答にも努めてもらいたい。
 
 県民との対話については、三重県が先駆的な取り組みを見せており、同じく南北に広い県ながら南側の意見が反映されている施策も目立つ。知事には、県内どこに住んでいても平等な行政サービスが受けられるよう努めるとともに、やはりそれぞれの特性を生かしながら地域の発展、ひいては県全体の発展につながるような施策を生み出すことに期待したい。
 

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