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社説「顔の見える県議で市発展に」

 12年ぶりの選挙戦となった和歌山県議選の新宮市選挙区。結果は、自由民主党現職の濱口太史氏が、元新宮市議で無所属新人の上田勝之氏を僅差(きんさ)で破り、4回目の当選を決めた。

 選挙戦を一言で振り返ると、組織力の差が出たのではないか。濱口氏は、無投票一転、選挙戦になるのが分かると、後援会組織の編成を急ぎ、決起集会を開いて国道42号沿いの目立つ場所に事務所を開設。政策チラシを各戸に配布するなど、実績と経験を強調するとともに知名度を上げることに努めた。選挙戦が始まると、無投票で当選を決めた同志が相次いで応援に入って弁士を務めたほか、終盤に開いた個人演説会では県議会議長と副議長が登壇し、当選すれば4期目で議長の期待が大きいことなどもアピールポイントに挙げた。さらに、最終日には自民党の世耕弘成参議院幹事長もテコ入れに駆け付けるなど、組織力を生かした盤石の戦いを見せた。
 
 一方の上田氏は、政党や団体などの推薦はなく、組織力で劣ることが予想され、どのような戦い方をするのか注目された。街頭演説で政策を訴えるとともに、SNSも活用しながら、草の根で幅広い層への支持を訴えたが、あと一歩及ばなかった。
 
 全国的に議員のなり手不足が問題視され、和歌山県議選でも14選挙区中9選挙区で無投票。無投票だからと言っても皆さまの税金は少なからず使われている。今回、新宮市選挙区で12年ぶりに選挙が行われたのは、意味のあることだったのではないだろうか。選挙戦がなければ、候補者が自身の政策を街頭や集会などでアピールするとともに、住民の意見を聞き取る機会もなくなる。今回敗れたものの、上田氏が市民の選択肢として立候補し、さまざまな政策を訴えたことは、市民の県政への関心を促すとともに、県都から最も離れた新宮市から一石を投じる意味でも大きかったのではないだろうか。
 
 当選した濱口氏には、これまでの実績と経験を生かし、顔の見える新宮市代表の県議として、市民と県政とのパイプ役を担い、活動報告会の開催をはじめとした情報発信、さらに市民の意見をさまざまな機会で聞き取ることにも努めてもらいたい。新宮市発展のために、これまで以上に仕事をしてもらいたい。
 

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