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社説「懸念に寄り添った対応を」

 東紀州広域ごみ処理施設整備に向けた基本計画案がまとまり、12月16日まで東紀州環境施設組合が意見公募(パブリックコメント)をしている。

 これに先立ち15日夜に尾鷲市立中央公民館で住民説明会が行われたが、慎重派の住民が冒頭から質問を投げ掛け、進行が混乱する事態となった。

 市営野球場の移転を伴う事業であり、移転先に課題があることはさておき、三方を山に囲まているという地形上の特性から大気汚染への懸念が、水道水源の上流部であることから水質汚染への懸念がある。また、大気が汚染された場合は、降雨によって水にも影響する可能性がある。

 国の基準かそれ以上に厳しい基準が設けられることになっている。ダイオキシン類については、850度の高温処理かつ、再生成しないように冷却した排気ガスを煙突から放出する。

 煙に関しては、「逆転層」の影響で市街地上空に滞留する懸念が示された。環境影響調査の結果は出ていないが、結果によっては煙突の高さの見直しや送風装置の付加などを検討する必要があるだろう。

 水については、ごみ処理に使った水は川へ放出しない。一方、雨水は一度貯めて川に流す計画。住民の不安を解消するために、川に流す水の水質をチェックし公開できないか。

 大切なのは、住民の不安や懸念に寄り添った対応だろう。そのためには情報公開と説明が欠かせない。環境影響調査の結果は、少なくとも情報開示に対してデータを公開することが求められる。つまびらかにすることで、調査結果の妥当性を示すことにもなり、第三者の判断を仰ぎたい人の要望にも沿うことになる。

 ごみ量の見込みも、大きく変わる可能性がある。施設整備の準備を進めつつ、各市町で2年間集中して取り組めば、一定のごみ削減ができるだろう。

 稼働後20年以上にわたって使うことになる施設。将来、ごみ量が減り、稼働率が低下することが計画でも見込まれている。今、しっかり議論することが将来の負担を減らし、禍根を残さないことにつながる。

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