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社説「安全走行へ注意看板設置を」

 新宮市と奈良県五條市を結ぶ国道168号は、沿線住民の生活道路であると同時に観光や物流にとっても欠かすことのできない幹線道路。熊野川沿いに山間部を縫うように走る168号の形状はカーブが多いが、信号がほとんどないため、スピードに乗りやすい。このため走行には注意が必要だ。

 先日、新宮市の国道168号で2件の交通事故が相次いだ。1件は中型トラックとバイクの正面衝突でバイクの男性が死亡。もう1件は軽トラックと普通車の衝突事故で軽トラックの男性がけがをした。交通事故はいつ、どこで起きるか分からない。ドライバー一人一人が交通ルールとマナーを守った運転が事故を防ぐ上で最も大切なことだが、道路の形状や危険箇所をドライバーに周知することでも事故減少につながる。
 
 いつも通行するドライバーなら道路に慣れて危険箇所はインプットされているが、観光客など初めて当地方を訪れるドライバーは道に不慣れで、極端に速度の遅い車や、直線になると飛ばしてカーブ手前で急減速する車などが散見され、事故につながりかねない。
 
 新宮市熊野川町宮井~北山村方面に通る国道169号を走ると、「この先急カーブ」などの注意を促す看板が目立つ。このような看板は観光客にとってはありがたい。道路管理者の和歌山県東牟婁振興局新宮建設部によると、道路標識や看板は、目的・用途に応じて設置者は異なるが、安全な走行を促すような看板は基本、道路管理者で対応する。169号は近年、「奥瀞道路」の整備工事が進み、その予算と合わせて設置した箇所が多いという。
 
 168号でも場所によって注意喚起の看板は見られるが、近年で新たに設置したような場所はほとんどない。一方で、観光客目線で見ると、「ここにもあれば」と思うような場所はいくつかある。この点について新宮建設部は「設置の必要性があれば、その都度検討し対応する」と見解を示す。
 
 観光地を訪れて不幸にも交通事故に遭ってしまえば、せっかくの楽しい思い出も台無しとなり、「再訪したい」とは思ってもらえないだろう。コロナ禍の旅行で、列車やバスでの移動を避け、普段あまり使用しない自家用車で訪れる人たちも増えている。注意喚起の看板設置にそれほど大きな予算はかからないはず。安全に当地方での旅行を楽しんでもらうための「おもてなし」の一つと捉え、県議らが率先して危険箇所を洗い出し、県当局に整備を提案してもらいたい。
 

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