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社説「猛暑の被災に備えは」

 7月28日に熊本県で最大震度7を観測した「令和8年熊本地震」。まずは、お亡くなりになられた方々に心よりご冥福を、そして被災された皆さまにはお見舞いを申し上げます。熊本地震が示したのは、地震の揺れへの備えだけでは住民の命は守れないという厳しい現実。猛暑の中で停電と断水が重なれば、避難所は安心の場どころか、命を脅かす場所にもなりうる。南海トラフ地震への警戒が必要な当地方では、この教訓を他地域の出来事として受け流してはならない。

 行政が直視すべきは、有事の際に避難所を開設するかどうかではなく、そこで住民が生き延びられるかどうかである。電気が止まればエアコンも照明も使えない。水が止まればトイレも手洗いもままならず、衛生環境は急速に悪化する。高齢者や乳幼児、持病のある人は、揺れを逃れても暑さや脱水により命を落としかねない。また、被災地ではトイレに行く頻度を抑えるために、水などの摂取を控える"飲み控え"が広がる。しかしこれは、熱中症の発症に加え、重篤化するリスクも高めている。避難所運営にはさまざまな課題がある。避難所を指定するだけで責任を果たしたかのような考えなら、それはあまりに危うい。行政が取り組むべきことは明確だ。非常用電源、蓄電池、給水設備、簡易トイレ、エアコン機器の整備を急ぎ、どの避難所に何があり、何が足りないのかを住民に公表する必要がある。
 
 文部科学省は熊本地震で避難所となっている学校施設に関して、エアコンの効いた普通教室を活用するよう検討を求める通知を出した。この件に関して、新宮市に聞くと、市立小中学校の普通教室にはエアコンが完備されており、これまで風水害時の避難でも利用実績がある。一方で、統合を控えて大規模改修中の緑丘中については、工事期間中に代替の指定避難所を設けることはせず、ほかの避難所利用を促すという。これらのことをどれほどの住民が知っているだろうか。広報紙などで繰り返し周知すべきだ。
 
 併せて、住民も危機感を持つことが大切。南海トラフ地震の際、被害は広域に及ぶ。支援が行き渡り、行政がすべてをすぐに届けてくれるという期待は捨てなければならない。1週間程度の飲料水や食料、携帯トイレ、暑さ対策用品などは各家庭で備えるのが基本となる。備蓄品があり自宅が安全なら在宅避難も選択肢になる。家族との連絡方法、避難先、支援が必要な人への声かけも、平時に決めておかねばならない。日頃の準備が備わっていれば、有事も落ち着いて行動できる。南海トラフ地震は、これまでの歴史上繰り返し発生しており、来るかもしれない災害ではなく、来ることを前提に備えるべき災害。今必要なのは、想定の甘さを捨て、猛暑と停電と断水まで見据えた現実的な対策に踏み込むことではないか。行政の備えの遅れも、市民の危機感の薄さも許されない。今回の熊本地震を教訓に、改善してもらいたい。
 

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