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社説「経費節減、利益生むアイデアは」

 那智勝浦町の新クリーンセンター建設に関して、先日本紙に匿名で情報提供があった。内容は落札者決定の過程を疑問視するものだった。このような大きな事業では、建設コストを抑えることにばかり着目されるが、逆の発想で、稼働後に経費節減あるいは利益を生み出す仕組みを考えることはできないだろうか。
 
 ごみ処理で年間約6億円の効果を生む自治体がテレビで紹介されていた。愛知県豊橋市では、ごみからエネルギーを作り出す取り組みを実践。分別して集めた生ごみと、下水処理で出た汚泥を、バイオマス専用施設のタンクで混ぜることで発生する可燃性のメタンガスを発電に使っている。生ごみも汚泥も以前は多額の費用を掛けて処分していたが、この施設を活用することで年間3億円の経費節減ができ、発電による収入も年間3億円あるという。この事業では、生ごみを燃えるごみと分別して出す必要があるが、市民も経済効果によるインフラ整備などで恩恵を受けており協力的という。
 
 一方、大阪府大東市では、定期的に剪定される街路樹や学校の木、建築現場で生まれる廃材や古い家具などを集めて細かく砕き、バイオマス発電の燃料にしている。同市内で運営する民間の発電所で使用し、年間約12億円の売電収入があるという。さらにバイオマス発電で生み出された電気は大東市が全ての公共施設や学校に導入。これにより大東市も電気代が約10%、年間約1000万円の経費削減につながっている。
 
 自治体の規模が違うため、そのまま当てはまらないにしても動くことが大切。ゼロカーボンシティ宣言を行うなど環境への意識の高い那智勝浦町は、新クリーンセンター建設でもさまざまな可能性を検討しているとのことで、そこは見守りたい。
 
 行政が改革を行う際、豊橋市の分別のように、住民の協力を求めることは当然必要。どの程度の節減が見込まれ、浮いた分でどの住民サービスを充実させるのかということまで踏み込んで説明できれば、理解を得られやすいだろう。
 
 また、人口減少が続くこの地域の将来を考えると、ごみ処理施設の運営は、三重県東紀州地域のように広域行政で担っていくことをもっと検討してもよかったのではないか。
 
 人口が減少すれば税収が減る。国からの交付税にばかり依存していてもいつ減らされるかもわからない。各自治体の財政事情は苦しくなるばかりだが、各首長には経営者目線でスリム化を図ってもらいたい。すでにこの地域では養護老人ホーム、児童養護施設、公設市場、消防(熊野市)、病院(紀南病院)、し尿処理、火葬などで広域行政の実績がある。同じ生活圏での”二重行政”を見直すことで浮いた財源をほかの住民サービスに充てる。各首長には”経営者”であってもらいたい。

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