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社説「コロナ禍の避難 新たな形」

 夜中に鳴り響いた緊急速報メールに不安を感じた人も多かったのでは。南太平洋トンガ諸島付近で発生した大規模な噴火の影響で、気象庁は16日午前0時15分、全国の太平洋沿岸地域などに津波注意報(一部地域は警報)を発令した。和歌山県や三重県でも津波が観測され、本紙エリアでも自主避難した人たちがいた。

 22日午前1時8分ごろには、日向灘を震源とするマグニチュード(M)6.6の地震があり、大分県と宮崎県で最大震度5強の揺れを観測した。この地震は、南海トラフ地震の想定震源域で起こったが、今回の規模がM6.8未満で基準に達しないことから、有識者を交えた「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」の臨時開催はしなかった。
 
 また、政府の地震調査委員会は今月、南海トラフで今後40年以内にM8~9クラスの地震が発生する確率を「80~90%」から「90%程度」に引き上げた。
 
 このような出来事から防災・減災について改めて考えたり、家族で話し合ったりした人もいるだろう。常時考えることはできないが、さまざまなタイミングで"確認作業"は必要。大災害時は、自助(自分・家族)、共助(近所・町内会)、最後に公助(国・地方自治体)であることを忘れてはならない。
 
 さらに、コロナ禍の避難のあり方についてはもっと考える必要がある。各自治体では、避難所での感染拡大を防ぐため、定員数を削減するとともに、ホテルなどの宿泊施設や親類宅などに身を寄せる「分散避難」を呼び掛けているものの、感染リスクを考え、避難をちゅうちょする人もいる。場合によっては命の危険が迫る可能性もあり、避難指示が出れば迅速な行動を心掛けたい。
 
 そこで、選択肢の一つに「車中避難」を新たな形として定着させることができないか。避難所は高齢者や障がい者、小さな子どものいる家族を優先とし、それ以外は車中避難を念頭に置く。各自治体は、あらかじめ車中避難できる安全な場所を確保し、広報しておくことを責務とする。車中避難のメリットには、プライバシーを確保しやすいこと、エアコン・カーラジオ・照明など車載設備が利用できること、ペットと共に避難できることなどがある。このほか、普段から家族が必要とする防災グッズを車に積み込んでいればなおよい。
 
 一方で車中泊ならではのデメリットもある。同じ姿勢で長時間いることで発症するエコノミークラス症候群には注意が必要だが、これは適度な運動を行うことで予防できる。自治体が車中泊避難者を把握できないため支援を得にくいことも指摘されるが、先述の通り、自治体が準備した場所への避難であればその心配もなくなるだろう。コロナ禍の避難については自治体任せではなく、今後はそれぞれが考え、準備をしておくことが求められるのではないか。
 

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