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熊野伝説III夕凪 映画通して魅力発信 地元で無料巡回上映始まる

 熊野地方を題材にした自主制作短編時代映画「熊野伝説III 夕凪−ゆうなぎ−」(本編60分)の無料巡回上映が今月から始まった。地元にまつわる民話や伝承話をもとに映像化した3部作の完結編で、20日は地元上映のトップを切って、撮影場所となった新宮市三輪崎で行われた。

 熊野映画を創る会の中田勝康代表が監督を務め、1作目は2010年制作の「加寿姫」、2作目は2012年制作の「熊野比丘尼おりん物語」。前作から12年後の昨年、紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録20周年記念として3作目を制作した。
 
 物語は江戸時代中期、クジラ漁が盛んな三輪ヶ崎で、主人公のおちづが漁から戻る与一を待っていた。ある日、与一は漁に出たまま戻らず、生きる意味を失ったおちづの前に謎の老婆が現れる。熊野に願いを一つだけ叶えてくれる神社がある。道は険しく命がけの願掛け旅となる。海と祈りと海辺の恋物語。夕凪とは、海風から陸風に変わる一時無風の時。
 
 撮影は昨年7月に行われた。新宮市出身の与一役の中瀬古健さん(東京都)、網元役の田岡実千年市長はじめ、多くの地元出演者が協力。三輪崎海岸や鈴島・孔島、那智勝浦町狗子ノ川のほか、熊野市や御浜町でもロケを行った。
 
 上映に先立ち、来賓の濱口太史和歌山県議会議員は「映画の舞台が私たち自慢の三輪崎海岸や鈴島・孔島で、たくさんの知り合いも出ており、大変楽しみ。一人でも多くの人に誇るべき海岸の風景を見ていただければ」。田岡市長は自身の出演映像を見るのが楽しみとし、「多くのスタッフと出演者がそれぞれの役割で一生懸命頑張っている姿に感動している。これからいろいろな方に見ていただき、新宮市の観光への寄与にも期待したい」とそれぞれ述べた。
 
 上映が始まると、来場者はスクリーンに集中し、見慣れた風景や知人が演じる様子を楽しみながら鑑賞した。終了後は、出演者による舞台あいさつがあり、それぞれ撮影時の思い出を語った。式神役で出演した新宮市の福本愛さん(近大新宮中3年)は「撮影を通してこれまで知らなかった熊野の魅力を知ることができた。この魅力をより多くの人に発信し、熊野に来てもらうことができれば地域活性化につながると思う」と期待を込めた。
 
 中田代表は「子どもから高齢者まで理解して楽しめるように作った映画。地元の伝説を知る良い機会にもなるので、ぜひ鑑賞してほしい」と話した。
 
 今後の上映スケジュールは▼下記QRでも確認できる。各会場とも駐車場に限りがあるので、乗り合わせに協力を求めている。
 
 
▼上映スケジュール

      新宮市

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