梅栽培が盛んな熊野市紀和町小船の梅林前に、緑鮮やかな芝生のキャンプ場が広がる。無料で使用できることから、全国からキャンパーが集まり、行楽シーズンともなると、さながら村のようにテントが立ち並びにぎわう。トイレが整備されていることから、家族連れにも人気。
今年1月から無料で使用できていたトイレに「善意の箱」が設置され、1人100円の利用料を求めている。新宅次郎区長に経緯を聞く。集落に住むのは全員が高齢者。これまで、住民が掃除やトイレットペーパーなどの備品を自腹で用意していた。しかし、住民が持ち出しで購入するのも限界になったことから、利用料をお願いすることになったという。
徴収するスタイルではなく、善意に呼び掛ける形。「支払っているのか」気になる。「皆さん、多めに支払ってくださり、感謝しかない」と笑う。
「小船梅まつり」も2018年の開催で最後となった。人の集まる機会が減り、住民も寂しさを感じていた。キャンプ場に訪れる人々のおかげで、住民も活力を得ているという。
悩みを見事に解決した住民の知恵が光る。
【茂】