私の最後の紀南抄になります。
「抄」の字には、「すくい取る」「長い文章などの一部を書き出す」などの意味がある。紀南地方を駆け回る記者が、取材活動という1つの記事に収まるはずのない体験や感じたこと・考えたことの少しを書き出す。そういった趣旨ととらえ、460字の拙い文をつづってきた。
ただし、個人的に設けた裏テーマがある。それは自己紹介である。取り繕った通り一辺倒の表現ではなく、なるべく自分の想いに率直に、見苦しくても直感的に伝えるよう努めたつもりである。その結果は読者の皆さまにご判断いただくしかないのだが、記者の人となりが分かることで、普段の記事にも一層の信頼感を持ち、興味を持ってもらえればとの思いから、赤裸々に語るよう心掛けた。
取材を通して感じることは、社会は人の思いが行動や形になり動いていくものということ。一人一人は小さな粒でも、それらが集まり大きなうねりを生んでいく。この文も、無意識下であっても皆さんの中に小さな粒として降り落ちて、何かしらの形で残るとしたら幸いだ。
今まで、ありがとうございました。
【稜】
