地元の商店や事業所が一つ、また一つと消えていく。廃業を避けて、商店やその技術を残すマッチングの仕組みがあるが、それ以前に、当事者の経営者に「意識の壁」がある。
9月の尾鷲市議会一般質問で加藤市長は、昨年実施した事業承継に関するアンケートから「事業承継に経営者の関心は薄かった。潜在的な課題を掘り起こす前に、意識啓発が必要だ」との見解を示した。
「自分の代で終わり」と見切りをつける人ばかりでなく、事業承継を望む経営者もいるはずだが、相談を持ちかけるのがおっくうで廃業の道を選んでいるのが実態ではないか。
行政と関係機関に求められるのは、経営者の懐に飛び込む積極性。経営者の本音を丁寧に聞き取り、第三者への事業承継が可能なことや、公的支援や民間マッチングの選択肢を目に見える形で示すべきだ。
経営者は「我がまちの産業を守る」という誇りと当事者意識を取り戻し、行政と関係機関はそれを全力で支える。形だけでなく、経営者と心が通う信頼関係を築かないと物事はうまく運ばない。
(N)
