中川にある会社前から、秋晴れの空を見上げ、当たり前のようにあった三田火力発電所の煙突が見えたような気になった。雲の白と空の青に溶け込みながら、それでも存在感のあった煙突は、もうあるはずもない。あれから尾鷲のシンボルは見当たらず、そう簡単に見つかるようなものであるはずもない。
祭りは地域に季節を告げる。八日薬師から相賀神社の八幡祭り、長島の船だんじりが終わると、ヤーヤ祭りに向けての取材が進む。燈籠祭や港まつりといった花火大会が終わると、尾鷲の八幡祭りがあり、豊作や豊漁に感謝する秋の祭りが続く。
九鬼のニラクラ、古江のギッチョ、銚子川の七夕物語、島勝浦の三番叟と、指の間から砂がこぼれ落ちるように、なくなってしまった。ただ見て知っていれば、思い出すこともできる。そのうち、形も音も思い出せなくなり、あったことさえも忘れていく。
今年も引本神社の関船祭りは無事行われた。毎年、石を積み上げるように行われる伝統行事を、大切にしていかなければならない。
(R)
