数日前、筆者の自宅がある中央町に招かざる客が現れた。わが物顔で歩くサルである。30年ほど前にも一時姿を見せたことがあったが、それ以来の出来事だ。聞けば南陽町や港町、栄町などでも目撃されており、野生動物の気配が私たちの生活圏へ確実に近づいていることを実感させられる。
尾鷲の山々では、ツキノワグマの目撃情報もたびたび寄せられている。サルの市街地出没とクマの目撃増加は、野生動物への警戒が特別なものではなく、日常的に注意を払わなければならないフェーズに入ったことを示している。
人と野生動物との境界は次第に曖昧になり、動物たちの行動範囲は市街地にも広がってきた。自然豊かな尾鷲にとって共生は欠かせない課題だが、それによって人の安全が脅かされてはならない。
サルの出没は決して他人事ではない。「あそこにサルがおったよ」「夕方は気を付けよな」。そんな地域の何気ない声掛けや見守りの輪こそが、暮らしの安全を支える最も身近で心強いセーフティーネットになるはずだ。
(N)
