人の話をよく聞く仕事柄、言葉は魔法だ、と思うことがある。巧みに操れれば良いのだが、記事を書く時はこの魔法とやらに振り回されることは、よくある。
先日取材した、九鬼の〝ボッチ〟を利用した流しそうめんは、意欲的かつ独特で興味深く、大学関係者や地域おこし協力隊などが熱心に取り組んでいることが感じ取れる。ただ、実行委員長の大学教員が、ボッチを評して「地域固有の文脈」と繰り返した点で、キーボードを打つ手が止まった。
言葉としての「文脈」の正式な意味としては、文の脈絡、言葉や文の間の論理的な関係やつながり具合を示すが、この場合は、地域の中の連綿とした文化というような意味合は推し量ることができる。
分かりやすく簡単な言葉で、というのが記事の基本だが、取材対象のこだわりは伝えたいところ。ほかに言い換えを考えたものの思い浮かばず、そのまま〝文脈〟という言葉を使うことにした。うまく伝えることができたか、どうすればよかったのか、分からない答えを探すのは、楽しい。
(R)
