鶴保庸介参議院議員の「運のいいことに能登で地震があった」との発言が批判を浴びている。当該議員の資質や選挙への影響を論じるつもりはない。ただ、南海トラフ地震の危険性を抱える紀伊半島に住む身として、失望している。
発言自体は、2拠点移住を推進する中で、緊急避難的に住民票がとれるようにした取り組みを評価するもので、被災者や被害を軽視する意図はないと察する。政治家だけでなく言葉尻をあげつらっての批判には辟易するが、今回の発言が被災地に心を寄せているとは思えない。
孤立集落の救助や支援、ライフラインの復旧、人口減少の中での復興と、能登半島は決して他人事ではない。発災直後だけでなく、地域の維持存続の不安もつきまとう。ただでさえ過疎化が進む中、南海トラフ地震によって維持できなくなる集落、消滅する伝統がどれだけあることか。
能登のみならず、東日本も熊本も復興の途中である。被災者に寄り添い、被災地から学ぶことで、南海トラフ地震の被害軽減につながる。
(R)